8月22日 バックビルディング現象??

こんばんは。

広島市の土砂災害による被害が連日報告されていいます。先日の台風での被害(南木曽町)同様、一瞬の出来事のような大雨、しかも、夜中ということもあり、警戒ができないまま、甚大な被害となってしまいました。

最近ゲリラ豪雨を見極めるメッシュが細かい、ナウキャスト予報を気象庁が導入したにも関わらず、ここまでの被害を予測することは、できませんでした。

我々気象予報士は、こういう時に、一番胸が痛いです。あとで、検証することは、できても、未然に注意を喚起できていません。

私たちがしなければいけないのは、評論家風に検証をすることではなく、未然に被害を最小限に防ぐことです。しかし、現実は、規模が小さな予報ほど、まだまだむずかしく、近年の異常気象もあって、経験値では、予測不可能な時代へと突入しました。

南木曽町の被害も、今回の被害も似ていて、短い時間、同じ場所に集中的に記録的な雨がふって、一瞬にして、土砂災害へと繋がりました。

今後、こういったことは、増えると考えられます。

そこで、報道でも、いろいろされてますが、さらに細かく解説をさせていただきます。

なぜなら、明日は我が身ですから。どこで起きてもおかしくないのです。

条件が揃えば、確実に起こりうるのです。

その前に、お亡くなりになった方々に、心からご冥福をお祈り申し上げます。同時に、震災の時もそうでしたが、さらに強い使命感を胸に、日々研究に精進したいと思います。

まず、集中豪雨になるメカニズムを簡単に説明致しますね。

集中豪雨とは、局地的で、短時間で災害をもたらすような強い、または、激しい雨のことをいいます。

気団性雷雨のように、積乱雲単体では、短時間(数十分)で雨はやんでしまいます。それは、スケールの問題と、強い上昇流は、雨の降下によって、弱まってしまうからです。しかし、積乱雲が、次々と発生し、数時間に及び、激しい雨を降らせ続ける条件があり、それが集中豪雨には必要です。

以前、竜巻を発生させる大きな積乱雲群(スーパーセル型ストーム)を説明したと思いますが、今回の広島は、それではなく、自己増殖型というマルチセル型ストームというものです。

マルチセル型には、4種類あると言われています。

1、クラウドクラスター型 積乱雲の丸い塊(よく、梅雨前線上にできるものです)

2、帯状に連なるライン型 寒冷前線などに、できるものや、地形的に風の収束が置きやすい場所に発生します。

3、バックビルディング型 積乱雲が風上側に次々発生して、ビル上の形態の積乱雲郡が、次々にできて、風上側~風下側に激しい雨をふらせるもの。

4、バックサイドビルディング型 先端や側面から積乱雲が次々発生するものです。

 

今回は、その中でも、3番にあたるバックビルディング型です。

さらに詳しい解説を知恵蔵から引用します。

積乱雲風上連続して発生し、風下では雨が激しく降り続ける現象。風上(後方)の積乱雲が、ビルが林立するように並んで見えることから名づけられた。通常の積乱雲は極めて狭い範囲に1時間当たり20ミリ程度の雨を降らせ消滅するが、バックビルディング現象では次々と積乱雲が発生し、1時間に100ミリ前後の猛烈な雨を比較的広範囲に降らせ続ける。その発生時間や場所を予測するのは困難とされている。日本では、2013年7月に山口島根県などで、また14年7月に沖縄県や新潟県で被害をもたらした豪雨などが、積乱雲のバックビルディング現象によるものとみられている。

 

今回広島市に集中豪雨が発生する気圧配置から読み取れるのは、広島の南東側には、太平洋高気圧があり、その縁辺を暖かく湿った空気が、強風にのって流入したということです。気圧配置から、南西からの風、南南東の風がちょうど収束する形で、正対する斜面を強制的に上昇しつづけたことが、強い上昇流をうみ、次から次えと、積乱雲を発生させたということです。

1、上昇流が起こるメカニズムを以前説明致しました。大気が不安定な状態でも、何らかのトリガーがあって、不安定な大気を持ち上げることがなければ、上昇流へとは、つながりません。今回は、地表面で、風の収束、地形的な効果、下層で暖かく湿った空気が入り続け、上層で冷たく乾燥した大気があること。下層で収束が起こり、湿った温かい空気が入り続けること。

2、もう一つ上昇流を生成するのに必要なのが、風のシャー(風速シャー・風向シャー)です。シャーといってもわかりづらいので、簡単に説明致しますね。

風が地表では弱く、上空で強い。この差が大きいことを、気象用語では、鉛直上で風速シャーが大きいといいます。また、地表で、西風、上層では、東風になっていれば、風向は、真逆。途中に前線面などあれば、起こりうることなのですが、こういった場合は、鉛直上に風向シャーが大きい。つまりベクトル値の大小差・方向差と考えてください。

これが、マルチセル型では、すごく大切で、下層が風が弱く、中層が風が強い、風速シャーが大きい状態で発達します。

なぜかというと、下層で風が弱ければ、冷気が入りにくく、暖かで湿った気相の塊が広い範囲にできます。上昇流を生成するためには、冷たい空気が下層で入らないことが大切なので、発達の条件になります。また、積乱雲は、中層の風に流されるので、中層の風が強いと、強い上昇流で発達した背の高い積乱雲が、風下の方へ流れていきます。そうすると、次にまた新しい積乱雲が、次々にできて、ベルトコンベアーの流れ作業のように、積乱雲の塊が、風上から風下へと次から次えとできては、流れていくということです。風下に移動した積乱雲の単体は、数十分で衰弱するのですが、新しい積乱雲が次から次へとつづいてくるので、ゲリラ豪雨のような雨が、狭い範囲で持続することが起きるのです。積乱雲が、自己増殖することから自己増殖型とよばれるマルチセル型の特徴です。

本当は、絵を交えれば、よいのですが、テレビでもたくさんやっていまししたから、僕は、さらに細かい解説という形で、許してくださいね。(汗)

以上の条件をクリアする場所があれば、どこでも、起きうるのです。

もう一度整理しますね。

1、気圧配置

2、下層に暖かく湿った空気が入り続ける。上空に乾燥した比較的冷たい空気があること。

3、風の収束がおきている。または、風向きから地形効果により、強制上昇流が発生する。

4、鉛直上に風速シャーが大きい。下層で風が弱く、中層では風が強い。

今回は、これを満たしていたために、大きな災害に繋がる大雨になってしまったのです。

他人事とは、考えず、明日は我が身です。

ゲリラ豪雨があるなどの、情報を聞いた時には、いろいろなことを想定して、準備をしておいたほうが良いかもしれません。

あと、自分の家のある環境が、低地なのか?知っておく必要はあります。河川からの位置関係。河川が氾濫したときに、水は、どこに向かうのか?地形をしっておくことです。

それに合わせ対策を講じる必要があるからです。

あと、土壌の地質。これは、市町村に資料があるので、教えてもらうとよいと思います。

土砂災害が置きやすい危険エリアとかありますので、そこは、大雨の時は避けるなど、情報だけでも頭に入れておくほうがよいと思います。

備えあれば憂いなしです。

地震とともに、今後は、水害も大きな災害の一つとして準備をしておきたいものですね。

まだまだ、今後台風など怖いですから、お互い気をつけましょうね。

あすも暑くなりそうです。暑いエリアは、熱中症対策をお忘れなく、冠水などしたエリアは、衛生面などもくれぐれもお気をつけください。赤痢とかも、冠水後に発生することがあります。

2次災害も、心配です。気持ち的にも、前に進めない人もいると思いますが、きっと意味があると思うのです。時間がかかってもいいと思います。僕らも出来ることで、助け合えればと思っております。いつの時も、被害をあった方々のドラマを考えると、胸が詰まります。

なんの慰めにもなりませんが、自分の使命を全うできるよう、これからも、頑張っていきますので、お互い頑張りましょうね。

あすも、前線に、湿った空気が流れ込みます。九州、東北では、非常に激しい雨(1時間に50~80mm)が降る恐れがあります。低地の浸水、中小河川の増水・氾濫、土砂災害には、くれぐれもお気をつけください。

24時間予想図 平成 26年 08月 22日 09時の予想
24時間予想図
あす朝の気圧配置です。
前線の前面では、あたたかく湿った空気が高気圧の縁辺を周り、南西方面から流入します。お気をつけください。
 あすの天気です。関東甲信地方をのぞいては、雨か曇りとなりそうです。前線付近に位置する、九州北部、東北地方では、激しい雨にご注意ください。

あすの気温です。

 関東・甲信・東海地方では、34度と高く、夜でも25以上の熱帯夜になりそうです。熱中症対策をお忘れなく。

 

最後に週間予報です。

平成26年8月21日10時45分 気象庁予報部発表

予報期間 8月22日から8月28日まで

 北日本から西日本は、気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がりやすく、雨の降る所があるでしょう。
 沖縄・奄美は、太平洋高気圧に覆われて概ね晴れるでしょう。
 最高気温・最低気温ともに、平年並か平年より低い所が多いでしょう

各地の詳細は、http://www.jma.go.jp/jp/week/

                           をご覧下さい。

 

ではでは。